発達障害について
日々の日常生活や社会生活の中で、コミュニケーションをとりづらかったり、注意力が長続きせず、仕事などでミスが多かったり、新しいことをする時に、なかなかそれができなかったりして、生きづらさを感じてしまう。
そんな方は、能力や努力の問題ではなく、もしかしたら発達障害という病気の可能性がございます。
発達障害は医学的に言うと脳機能障害の一種で、100人に数人の割合で生じる病気で、決して珍しいものではありません。
大きく3つの種類があり、ASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、LD(学習障害)に分けられます。
発達障害の主な症状
ASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群)の場合
- 相手の気持ちがよくわからない
- 空気を読めない
- 人とのコミュニケーションが苦手
- 人の話についていけない
- 周囲から孤立してしまうことがある など
相互的な対人関係における障害や、コミュニケーションの障害、さらには興味や行動が偏っている、こだわりが強いなどの症状があります。
ADHD(注意欠陥/多動性障害)の場合
- 仕事で同じミスをしたり、約束を忘れてしまったりして注意を受ける
- おっちょこちょい、そそっかしい
- 落ち着きがない
- 頭の中がゴチャゴチャしてまとまらない
- 先の見通しが立てられない など
性格の問題と見られがちですが、ADHDの場合もあります。
「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴です。
LD(学習障害)の場合
- 言われたことを理解できない
- 初めて行う作業は人よりうまくできない
- 人より作業指示への理解が遅い
- 特定の作業が苦手で何度やってもうまくならない
- 暗算ができない など
全般的な知的発達には問題が無いのにも関わらず、「読む」「書く」「計算する」など、特定の事柄だけがひどく困難な状態です。
原因について
発達障害の症状は、先天的な脳機能障害が原因となって生じると考えられています。
しかし、その障害が発症する詳細な仕組みや、なぜその脳機能障害が引き起こされるのかは、まだはっきりとわかっていません。
発達障害の症状は多岐にわたり、その原因も多様であると考えられ、すべての人に共通する原因はないのではないか、とも言われています。
一方で、かつて言われていた「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論は、現在では医学的に否定されおり、なんらかの遺伝的要因が発達障害には関わっているが、その他のさまざまな環境的な要因と複雑かつ相互に影響し合って発現するという考えが主流になっています。
治療について
発達障害は脳の機能障害が原因と考えられています。
これは生まれ持った脳の機能の特徴とも言い換えられ、発達障害の「治療」の目指すところは、「治す」というよりも、その特徴に合わせて、生活に支障をきたさなくしていく、ということになります。
一方、発達障害を抱える患者様は、それによって生きづらさを感じる中で、抑うつなどの精神症状が現れている場合もあります。こうした「二次障害」に対する精神科治療が必要なこともあります。
治療法としては、認知行動療法や森田療法、カウンセリングなども取り入れ、自分自身の「特性」について理解を深めていくことや、職場などに注意を散らすものは置かない、頻繁にメモをとるようにする、上司や家族と相談し、スケジュールに関し度々確認をしてもらうというように、周囲の協力や許可を得て、環境調整をしていくことは、発達障害の治療では大切になります。
この他、ADHDでは脳内の神経伝達物質の量を増やす働きがある薬剤を使った薬物療法で、症状の緩和を図る場合もあります。
また二次障害に対して、薬物療法を行うこともあります。